2023-04-11
不動産売却にはさまざまな税金がかかりますが、そのすべてがかかるわけではなく、売却のタイミングや特例制度を適用するかどうかで金額も大きく変わってきます。
そのなかでもとくに「譲渡所得税」は大きな割合を占めるため、高い税金をとられないか、不安な方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は不動産売却でかかる税金の種類と、譲渡所得税の計算方法や申告方法など、税金の取り扱い方を分かりやすくご紹介いたします。
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目次
譲渡所得税の説明に移る前に、まずは不動産売却でどんな税金が発生するのか、その全体像を把握しておきましょう。
不動産売却には6種類の税金があり、大きく分けて「利益にかかる税金」と「その他の税金」に分類できます。
不動産を売却すると、利益に対して発生する税金は以下の3種類です。
所得税は国税、住民税は地方税となっており、不動産を売却するとそのどちらも発生します。
また復興特別所得税は、東日本大震災からの復興に必要な財源を確保するために、2037年まで期間限定で所得税に加算される税金です。
これら3種類の税金をまとめて「譲渡所得税」といいます。
この譲渡所得税は、売却益に対して課税される税金のため、売却益がなければ課税はされません。
また不動産売却では、利益だけでなく手続きに際してかかる税金もあります。
印紙税は売買契約書に収入印紙を貼付することで納税する税金です。
500万円超1,000万円以下の場合は5,000円、1,000万円超5,000万円以下の場合は1万円など、不動産の売却金額によって納税すべき印紙代は異なります。
また令和6年3月31日までの間は軽減措置が適用されるため、印紙を購入する際は期間と金額をよく確認するようにしましょう。
もうひとつの登録免許税とは、抵当権抹消登記にかかる税金を指します。
住宅ローンで購入した不動産には、返済が困難になった場合にその不動産を競売にかけられる「抵当権」という権利が付与されます。
そのため抵当権がついたままでは、不動産を売却することはできません。
抵当権抹消登記に必要な登録免許税は、不動産1筆あたり1,000円です。
ただし住宅ローンによる抵当権がその不動産に設定されていない場合は、登録免許税は発生しません。
また不動産会社に支払う仲介手数料や、登記を依頼する司法書士へ支払う報酬には消費税もかかるため、こちらも予算に含めておきましょう。
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以上でご説明した税金のなかでも、大きな金額になることが多いのが譲渡所得税です。
先述したとおり、譲渡所得税は売却益に対して課税される税金です。
そのため譲渡所得税は以下の計算式で求められます。
譲渡所得税=譲渡所得×税率
では、譲渡所得と税率の内容についてそれぞれ見ていきましょう。
譲渡所得とは不動産売却で得た利益のことで、以下の計算式で求められます。
譲渡所得=譲渡価格 -(取得費用+譲渡費用)
このうち譲渡価格とは、不動産の売却金額のことを指します。
また取得費とは、売却した不動産を購入するためにかかった費用のことです。
取得費には不動産を購入・相続した際の金額だけでなく、取得時の仲介手数料や登録免許税・不動産取得税などの諸費用も含まれます。
しかし建物の場合、取得した金額がそのまま取得費として計上できるわけではありません。
取得時の価格から、経過年数分と構造別の耐用年数を考慮した減価償却費を差し引く必要があります。
また万が一、取得費用が不明な場合には「概算取得費」として、売却金額の5%相当を取得費として計上できます。
最後の譲渡費用とは、不動産売却に直接かかった費用のことです。
不動産会社へ支払う仲介手数料や印紙税、建物の解体費用などがこれに該当します。
もし計算の結果、譲渡所得がマイナスになれば、譲渡所得税は発生しません。
以上のように計算した譲渡所得に、ある一定の税率をかけることによって、譲渡所得税は計算できます。
税率は不動産の所有期間によって異なり、その税率は以下のとおりです。
所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」、5年超の場合は「長期譲渡所得」と呼ばれ、5年を境に税率が大きく異なります。
しかしこの所有期間は、不動産売却が成立した日から数えるのではありません。
売却が成立した年の1月1日から何年経過したかが判断基準になるため、所有期間の計算には注意が必要です。
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不動産売却では大きなお金が動くため、どうしても譲渡所得税が高額になりがちです。
できるだけ税負担を軽減するためにも、利用できる控除や特例は漏らさないようにしましょう。
ここでは譲渡所得税に適用できる控除制度をご紹介いたします。
譲渡所得税のなかでも非常に大きな効果があり、かつ代表的なのが「3,000万円特別控除」です。
この控除では、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。
課税所得を0にできるケースもあり、また次にご紹介する「長期譲渡所得の軽減税率」とも併せて使用できるため、上手く活用できれば大きく節税が可能です。
基本的には居住用のマイホームを売却した際に利用できる特例ですが、相続した空き家を売却する場合に利用できるケースもあるので、適用要件をチェックしておきましょう。
ただし適用には条件があり、売った年と前年、前々年にマイホームを買い換えたときの特例を受けていないことなどが挙げられます。
長期譲渡所得の税率は、通常であれば20.315%です。
しかし所有期間が10年を超えていれば、さらに軽減税率が適用できることがあります。
その場合、譲渡所得が6,000万円までの部分の税率は14.21%に軽減され、6,000万円を超えた部分は通常どおりの20.315%となります。
先述したとおり、この軽減税率は3,000万円特別控除と併用できるため、金額の大きい売買でも大きな節約が可能です。
また不動産売却では利益が生じた際の特例ばかりでなく、譲渡損失が発生した場合に利用できる控除制度もあります。
そのひとつが「居住用財産の買い換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」です。
この特例が適用されれば、譲渡損失をプラスの所得と相殺し、相殺しても損失が残る場合には控除を3年間繰り越すことができます。
要するに損失が出た分だけ、その年以降の課税所得を減らせるので、譲渡損失が出た場合も節税が可能になります。
他にもマイホームを買い替えるために不動産売却をおこなった際は「特定居住用財産の買換え特例」が利用可能です。
この特例は、所有期間と居住期間が10年を超える居住用不動産を売却し、それよりも高い金額の住宅に住み替える際に利用できるものです。
課税所得への課税が将来に繰り延べられるため、新居を購入した年の税負担が軽くなります。
そのため新居の購入費用を捻出しやすく、買い替えしやすくなるのがこの特例の大きな魅力です。
ただし繰り延べであって免除ではないので、いずれ税金を支払う必要がある点にはご注意ください。
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不動産売却で譲渡所得がプラスになり、譲渡所得税が発生する場合、確定申告をおこなう必要があります。
譲渡所得税は分離課税の対象なので、売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告をおこないます。
一方で譲渡所得がマイナスになる場合は、課税するべき所得がないため、原則的に確定申告は不要です。
しかし先ほどご紹介した「居住用財産の買い換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」などの特例を利用するには、確定申告をおこなわなければなりません。
そのため売却益がある場合も損失がある場合も、基本的には確定申告をおこなっておいたほうが良いでしょう。
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不動産売却には6種類の税金が発生しますが、そのなかでも譲渡所得税は金額が大きいです。
しかし譲渡所得税に適用できるさまざまな特例があるので、事前に対策しておくことで大きな節税につなげられます。
また損失があり譲渡所得税がかからない場合も、確定申告をおこなうことで特例を使って節税できるケースがあるので、しっかりと確定申告をおこなっておきましょう。
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