2022-09-13
日本全国で空き家の増加が社会問題となりつつある昨今。
これから空き家を相続することになり、お悩みの方は少なくないでしょう。
空き家は相続せずに放棄することも可能ですが、その場合にもさまざまなデメリットがあり、ご自身の状況に合わせて慎重に判断する必要があります。
そこで今回は空き家の相続する場合に必要な相続登記や、相続を放置する場合の管理責任・売却方法を解説いたします。
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相続登記とは、所有者が亡くなった不動産を相続した際に、名義人を変更する手続きのことです。
これまで相続登記は当事者の任意としていましたが、2024年4月1日から義務化されます。
相続登記の義務化によって変わるポイントは、主に以下の4つです。
①相続登記の申請義務化(2024年4月1日施行)
義務化後は、相続の開始および所有権取得を知った日から3年以内に、相続登記をしなければなりません。
遺産分割で所有権を取得した場合には、分割の日から3年以内が期限となります。
また義務は過去の相続にも適用され、その場合は施行日から3年以内が申請期限です。
②相続人申告登記の創設(2024年4月1日施行)
しかし実際の相続では、遺産分割協議がまとまらないなど、申請期限内に登記がおこなえない場合も考えられます。
そのような場合でも簡易的に申請義務を履行できるようにする新制度が「相続人申告登記」です。
申請義務のある方が登記官に申し出ることで、申請義務を履行したものとみなされます。
③氏名または名称および住所の変更登記の義務付け(5年以内の施行)
所有権を持つ名義人の氏名や名称、住所に変更があったときには、変更があった日から2年以内に変更の申請をしなければなりません。
また義務化前の住所変更なども対象となり、施行日から2年以内に住所変更登記をおこなう必要があります。
ただし所有者がすでに亡くなっている場合は、住所変更登記は不要です。
④怠った場合の罰則(2024年4月1日施行)
正当な理由もなく相続登記の申請義務を怠った場合には、10万円以下の過料を求められるようになります。
放置していると金銭的に大きな損になってしまうため、早めに相続登記をおこなうようにしましょう。
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以上のように相続した空き家は今後、相続登記が必要になります。
しかしこれまでは相続登記が必須ではなかったため、とくに何もせずに放置しているケースも多いです。
空き家を放置していると、法的な問題だけでなく、以下のようなさまざまな問題を引き起こす可能性があります。
①老朽化による倒壊
古い空き家は木造でできていることも多く、老朽化が進むと倒壊しやすくなってしまいます。
もし倒壊してしまうと、それによって隣家や通行人などに被害が及ぶことも考えられます。
場合によっては賠償問題に至る可能性もあるので、相続したらしっかりと維持管理をおこなっておきましょう。
②治安の悪化
また放置された空き家は、不法侵入や不法投棄、放火などの犯罪に利用される可能性もあります。
なかでも放火は19年連続で犯罪発生率の多くを占めており、出入りが容易な放置空き家はとくに利用されやすいといえるでしょう。
しっかりと清掃をおこなう、戸締りをしっかりする、人感センサー付きの照明を設置するなど、人の出入りがあることを示すことが犯罪への有効な対策になります。
③地域の景観悪化
放置されて荒廃した空き家があると、当然のことながらその周囲の景観を悪化させてしまいます。
悪化した景観は、周囲の不動産価格や土地の人気にも影響を及ぼします。
自分だけでなく、周囲に迷惑をかけないためにも、空き家の維持管理は必要だといえるでしょう。
以上のようなトラブルが起きた場合に、持ち主が賠償責任を負うかどうかは、トラブルの原因が予想できたかどうか、対策をしていたのかどうかが判断のポイントとなります。
仮に空き家で火災が発生したとしても、適切な管理をおこなっていれば「失火責任法」によって損害賠償に問われることはありません。
しかし燃えやすい不法投棄ゴミを放置していた場合など、管理が不十分だったと判断されてしまうと、重過失とみなされて損害賠償を請求される可能性があります。
とくに人への被害があった場合は、大きな賠償責任を負うことになるため、日ごろから適切な管理をおこなっておきましょう。
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以上のように、空き家は放置しているとさまざまなデメリットが発生します。
しかし空き家が遠方にある場合や多忙な場合など、日常的な管理が難しい場合は空き家を売却して手放すことも可能です。
空き家の売却方法には、そのまま売却するパターンと、解体して更地にして売却するパターンの2種類があります。
売りたい空き家が木造住宅の場合、築20年以上であれば建物価値がない「古家付き住宅」、築20年以内であれば一般的な「中古住宅」として売却できます。
空き家をそのままの状態で売るメリット
空き家を解体せずに売却する場合、やはりコストがかからないことが大きなメリットになります。
解体費用をかけずに売却できるので、コストをかけずに売却したい場合はそのまま売りに出すと良いでしょう。
また住宅用地の軽減特例措置が適用されるため、敷地面積200㎡までの固定資産税が6分の1になります。
さらに古家付き住宅は土地だけの価値で売却するため、建物に関して契約不適合責任は免責にすることが可能です。
空き家をそのままの状態で売るデメリット
一方で空き家をそのまま売ると、価格や売れにくさがネックになることも多いです。
古家付き住宅の場合、解体を前提に購入される方も多いため、解体費用も考慮した売却価格を設定することが多いです。
そのため結果的に売却価格が安くなってしまう傾向にあります。
また解体が必要な点や、物件の間取り・設備などが購入希望者の要望と外れることもある点から、更地で売却する場合に比べて買い手がつきにくいのもデメリットのひとつです。
一方で空き家を解体して更地として売るのも、メジャーな空き家の売却方法です。
空き家を更地にして売るメリット
空き家を解体し、更地で売る主なメリットは以下の2つです。
まずすでに更地であることで、買い手が解体費用を負担する必要がありません。
解体を待たずにすぐに新しい家の建築に移れるため、買い手がつきやすく、売却しやすいといえます。
また建物がなく土地の状態が分かりやすいことも、売却しやすい一因となっています。
空き家を更地にして売るデメリット
以上のように売却しやすいのが更地にするメリットですが、反対に売主の負担が大きくなりやすいのが、更地にするデメリットです。
空き家を更地にするには、当然解体費用が必要です。
解体費用は家の大きさや構造によって異なりますが、少なくとも数十万円から数百万円の費用がかかります。
さらに建物がなくなると住宅用地の軽減特例措置が適用されなくなり、固定資産税も高くなってしまうため、早期に売却しないと損になる可能性もあります。
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このように相続した空き家は売却することができますが、どの方法にも手間や費用がかかってしまいます。
空き家は相続放棄をおこなうことで、そもそも相続せずに手放すことが可能です。
相続放棄とは、資産や負債などすべての遺産を相続する権利を放棄することです。
ただし預金などのプラスの資産は相続して、空き家のみを相続放棄することはできません。
相続放棄の申請期限は、相続開始を知ってから3か月以内です。
相続放棄をおこなうと、相続権は次の相続人へ移行します。
相続人の順位は、法律によって以下のように定められています。
しかしその空き家を現に占有している、つまり居住している相続人が相続放棄した場合、その相続人には次の相続人に引き渡すまでの間、管理責任が発生します。
管理責任とは、相続放棄した空き家の適切に管理・保存する責任のことです。
もし相続人全員が相続放棄した場合、空き家の管理責任は最初に相続放棄した空き家を現に占有している相続人へ戻ります。
基本的に、その空き家に住んでいない場合は管理責任を負う必要はないため、安心して相続放棄できるでしょう。
相続財産清算人とは?
誰も相続する方がいない場合は、空き家を「相続財産清算人」に引き渡し、国庫へ帰属させる手続きをしてもらう必要があります。
相続財産清算人は、家庭裁判所に申し立てることで、選任してもらうことが可能です。
ただし申し立てには費用がかかるほか、相続財産清算人への報酬も支払う必要があります。
それなりの資金が必要になるため、相続放棄を検討するなら、事前に予算も確保しておくと良いでしょう。
\お気軽にご相談ください!/
相続した空き家は相続登記がされないまま放置されているものも多いですが、2024年4月1日からは相続登記が義務化されます。
また空き家の放置はさまざまなトラブルの原因にもなるため、売却や相続放棄などで、手放す方法を検討することをおすすめします。
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